冬季限定「焼き菓子屋のフルーツケーキ」

 

2012年にクリスマス時期など冬の期間限定で作り始めたフルーツケーキ。

その内容はすでに過去のブログでお知らせしていますが、

少し変わった部分などもあり、

新たな内容でお知らせします。

 

 

フルーツケーキはドライフルーツと洋酒がたっぷりのイギリスの伝統的な焼き菓子。

 

ドライフル―ツとナッツにスパイス、洋酒をたっぷりと使い、

手間暇かけてつくるこのケーキは、

イギリスでは祖母から母へ、そして娘へと受け継がれる家庭の味。 

イギリスでは特別な日はもちろん、

毎日の生活になくてはならないものだそうです。

原材料は、ラム酒に一晩漬け込んだドライフルーツ

(グリーンレーズン、サルタナレーズン、カレンズ、

クランベリー、オレンジピール、レモンピール等)、

ローストしたナッツ(アーモンド、クルミ)、

バター、粗精糖、卵、小麦粉、甘酒、

香辛料(シナモン、ナツメグ、クローブ、ジンジャー)、塩

BP(膨張剤)は使っていません。

 

ご注文を頂いた方、

これから注文を頂くかもしれない方のことを思うと、

つい計量が甘くなり、年々フルーツの量が増えてきて、

昨年頃から小麦粉とのバランスがちょうどよくなってきたように感じています。

最初の頃よりフルーツは約10%増量で、 

ドライフルーツとナッツで全体量の半分以上を占めています。

 

それと、今年からお米の力も入れてみよう・・・ということで、

奥出雲井上醤油店の「甘酒」を入れています。

 

この米と米麹で作る甘酒、

当店ではジャムに使ったり、クッキーに使ったり、

ケーキやタルトに混ぜたりと色々と試しているところですが、

保存性が高まったり、甘さの味わいに奥行きが出たりしているように感じています。

面白くて楽しい素材です。

  

これらをひとつひとつ丁寧に混ぜて、混ぜて、ひたすら混ぜて・・・・・・・・・。

 

型に入れて低温で焼くこと2時間と少し。

 

しっかりと焼き切ることが焼き菓子屋の仕事ですから、

温度の微調整をしながら、

しっかりと焼いてあるけど、焦げない焼き加減で

粉の一粒まで火が通るようなつもりで焼いていきます。

 

そして重くてどっしりしたケーキの出来上がりです。

(写真はサイズ18センチ、重さは1.2㎏を超しています。) 

 

通常お菓子は日を置くと味が落ちますが、

このフルーツケーキはワインのように熟成させます。

 

ケーキが焼き上がったら、はけを使ってラム酒を塗ります。

この作業をフィーディング(feeding)と呼びますが、

英語で「餌(食事)を与える」という意味だそうです。

  

当店では焼き上がりに1回、あと一週間ごとに3回の計4回、

一ケ月にわたってラム酒を使って熟成します。

 

ラム酒をケーキに染み込ませることで風味が豊かになり、

また保存性が高まります。

  

3回目のフィーディングのあと頃からラム酒がケーキになじんで、

しっとりとしてくると同時に、

アルコールの強さが少なくなり、

フルーツと一体となったコクのある酸味を感じる良い香りになってきます。

 

作り方によっては何か月も熟成させる方法もあるようですが、

当店では約1ヶ月熟成させた後、

さらに数日間、

様子を見ながらケーキ全体を空気となじませてからの販売となります。

 

このフルーツケーキ、

使うラム酒によって仕上がりが大きく左右されるため、

製菓用をはじめいろいろ試しました。

 

香りのよい、甘さを感じる良質で濃厚なラム酒は

価格も高くケーキ用には使えず、

と言って安価なものはアルコールだけが強くて香りも弱くコクがない・・・。

 

で、出会ったのがこのラム。

「プランテーション オリジナル ダーク」

フランスのコニャックメーカーのフェラン社が手掛けたダークラム。

 

トリニダード・トバゴの伝統を守って作られたラムをフランスに持ち帰り、

フェラン社のブランデー造りの伝統と独自の経験に基づいてブレンドした後、

さらにコニャック樽で熟成して個性を引き出したラム(3年以上熟成)。

 

トリニダードのラムを、

若いバーボン樽とフランスのコニャック樽という

それぞれ個性の違う樽で熟成させる

「ダブルエイジング」という技術で熟成させた、

より洗練された味わいと芳醇で複雑な香りのアロマを持ったラムです。

 

このラム、フルーツケーキにぴったりのものでした。

 

熟成を終えたフルーツケーキは、

それぞれの素材が渾然一体となって、

しっとりとしたいろいろな香りがする濃厚なものです。

 

甘さ、酸っぱさ、ほろ苦さ、かすかなスパイスの香りなど

一言では言えない複雑な味わいですが、

単純にこういう味わいです…と言えないのです。

 

何故かといえば、

このケーキ、日を追うごとに味・香りとも変化していて、

食べるたびに新しい味わいがあります。

 

お客様の中には”ここが好き‼”と仰る方が多く、

毎年ご注文頂いていて、

飽きない味わいのケーキとなっているようです。

 

薄くスライスして、少しずつ食べていただきたいケーキで、

ラップしてアルミホイルでしっかりと包んで

涼しい場所(または冷蔵庫)で保存していただければ、

かなり長い間愉しめるようになっています。

 

2月頃までは予約を受け付けています。

ご注文の日から約1か月たってからのお渡しになります。